#norelated

&size(32){''第20回 関東「音楽と脳勉強会」のご案内''};

*スケジュール [#b122562a]
''日時''  平成27年12月18日(金) 19:00~20:00
&br;
''会場''  電気通信大学 西10号館2F 大会議室 (地図は[[こちら>http://www.uec.ac.jp/about/profile/access/]])~

*発表者 [#t20dc8e7]
澤井 賢一 (九州大学)

*内容 [#d1670f89]
''音の同一源性推定を仮定した聴覚時間知覚のベイズモデルとその発展''
&br;
先行研究において,3つの短音で区切られた時間パターンを知覚する際に,一見相反する知覚的バイアスが働いていることが分かっている。本発表では,脳が音の同一源性を推定していると仮定することで,そのような相反するバイアスがベイズ推定を用いてモデル化できることを示す。さらに,同一源性の推定が他の知覚現象においてどのような影響を与えているかについて,考察を試みる。


//''参考文献''


//*参加報告
*参加報告 [#i33691cd]
&br;
本発表はヒトの知覚についてベイズ推定を用いてモデル化するという研究であった。ヒトには時間縮小錯覚という現象があり,これは連続する2 つの時間間隔を聞いたとき,2 つ目(T2)が1 つ目(T1)より長いと,2 つ目が実際より短く感じられるというものである。この錯覚も含め,ヒトが単純なリズムパタンの知覚において等しい感覚に知覚しようとする同化現象と差を強調して知覚しようとする対比現象がMiyauchiらにより確認されている。また,ヒトは隣り合う区切り音の同一音源性の判断にも錯覚(隣り合う音の音高差が大きいと,実際に知覚される音列が入力音と異なる:音階錯覚)が生じやすい。このようなヒトの知覚に関するバイアスについてベイズ推定を用いて仮説の定式化を試みた。ベイズ推定とは観察結果に基づいてその原因を,事前確率と尤度関数を用いて推定するものである。今回の研究では錯覚は事前知識によって感覚器から脳への入力にヒトの脳が修正を加えているから起こるのではないかという考え方である(脳はそもそも情報にノイズが入っているとわかっているので,事前知識を使って知覚を修正しようとする)。これまでの心理実験などの結果から,T1への錯覚量がT2への錯覚量よりも小さいことが分かっている。今回の提案モデルでは,この点も含めて時間知覚の特徴を広く再現するようなシミュレーション結果が出た。今後はこのモデルに含まれる仮定の検証を進めていく予定である。
感想:発表ではベイズ推定自体の説明もくわしく説明していただき,わかりやすかったです。たった3つの音であるにも関わらずヒトには錯覚が生じ,しかもその原理がよくわかっていないということも含め,ヒトの知覚についての基礎研究はまだまだ残されている部分があると再認識しました。(小幡哲史)


新規作成編集コピー名前の変更アップロード添付ファイル一覧バックアップ