第34回 「音楽と脳」研究会のご案内

スケジュール

日時  2022年10月28日(金) 19:00~21:00
会場  オンライン(Zoomへのアクセス情報はMLで配信しております.MLへの登録は幹事にご連絡下さい.)

発表者

伊藤浩介(新潟大学脳研究所)

内容

サルの脳波で探る音楽の脳進化
ヒト脳は、進化により少しずつその機能を獲得してきた。すると、音楽の理解にも、ヒトと非ヒト霊長類の脳機能を比較する進化学的な視点が有用だろう。そこで演者は、無侵襲のヒト脳波記録法をアカゲザルやコモンマーモセットに適用することで、同じ音刺激に対する脳反応を、可能な限り条件をそろえて種間比較する実験系を確立した。この方法で大脳聴覚野の機能を調べると、ヒトとサルでは、聴覚処理の特に時間的な側面に違いがあることがわかってきた。例えば、聴覚誘発電位の大脳成分の潜時はヒトで遅延し、それに伴い、聴覚刺激が時間的に統合される時間幅(時間統合窓)もヒトで延長していた。つまり、ヒトの聴覚処理は、より長い時間スケールで、音をひとまとまりのパターンとして処理する方向に進化してきたようである。そして、こうした種差に呼応するかのように、音楽のような複雑な聴覚刺激の時間処理にも種差が見られた。こうした聴覚野の機能の違いが、ヒトにおける音楽の進化を、知覚の側面から支えたのかもしれない。

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