第15回 関東「音楽と脳勉強会」のご案内
日時 平成27年7月31日(金) 19:00~20:00
会場 電気通信大学 西10号館2F 大会議室 (地図はこちら)
牟田 季純(早稲田大学大学院文学研究科)
「心理学,感情,美学:音楽のメタ表象とメタ表象としての音楽」
文献紹介および研究紹介
発表者の牟田氏は音楽、心理学、美学そしてヒトの感情などに興味関心があり、現在は音楽がヒトの内面に及ぼす影響について研究を行っているという。そこで今回は「心理学,感情,美学:音楽のメタ表象とメタ表象としての音楽」のタイトルで、文献紹介および研究紹介が行われた。はじめは音楽の美の捉え方が時代によって移り変わる様子を、文献を挙げて紹介してくれた。中でも私の興味を引いたのは、オールドスクールによる認知心理学的アプローチやニュースクールによる認知神経科学的アプローチを経て、最終的に「音楽経験のうちの非音楽的快楽をそぎ落とすと、音楽の美が見えてくる」という仮説に至る経緯の話だった。私はこの分野に不案内ということもあり、これまで考えたことのない仮説を聞き、大変興奮した。続いて現在盛んに行われている神経科学、脳科学による研究成果をいくつか紹介し、最後に牟田氏自身の研究成果について述べていた。研究内容を要約すると「音楽聴取による感情(情動生起)に音楽の美的評価(印象評価)は先立つか?」という問いを検証し、「印象評価は感動に影響しない」という結論が得られたということだった。今回の勉強会は私にとって、音楽をより大きな視点で捉えるよいきっかけとなった。 (平野 剛)