第13回セミナーのご案内

スケジュール

日時  平成28年12月19日(月) 16:30~18:30
会場  電気通信大学 西10号館2F 大会議室 (地図はこちら
参加費 無料(事前登録不要)

プログラム

招待講演  村田 哲 先生 (近畿大学医学部)
「ミラーニューロンシステムにおける運動制御と身体表現」

講演要旨

 脳内では,一次視覚野から頭頂葉に向かう背側経路が空間的な視覚情報を処理する。背側経路はさらに前頭葉の運動領野へと繋がる複数の並列した経路が認められており,頭頂葉で処理された空間情報が運動の制御のために使われている。このうち,下頭頂葉と腹側運動前野を結ぶ経路には,把持運動に必要な物体の傾きや大きさ,3次元的特徴,また両眼視差情報が表現され把持運動に関わっている。
 近年、この下頭頂葉や腹側運動前野には,他者の運動を観察した時に活動し,同時に自らの運動遂行中にも活動するミラーニューロン(MN)が発見されている。MNの存在は,他者の身体も脳内に表現されていることを示しているが,我々は,頭頂葉に自己の身体を参照しながら,他者の身体を知覚するような身体の共有のメカニズムがあることを見つけた。また,感覚運動制御においては、現在の身体の状況をモニターする必要がある。このために,視覚や体性感覚、前庭覚、運動の信号などが統合され,脳内の身体マップをアップデートする。我々は頭頂葉のMNが、自己の身体動作の視覚フィードバックに反応することを発見した。MNには,他者の内部状態を推測する役割があると考えられているが,運動の信号から予測される感覚フィードバックと実際の自分の運動のフィードバックを比較することも可能であることを示している。そしてこのメカニズムによって、自他の身体の区別も可能になると推測される。下頭頂葉や腹側運動前野結ぶ経路は,ヒトの上縦束III(SFL III)に相当する。SFL IIIは、感覚運動制御とともに身体の表象に重要な役割を担っている。

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