バイオリンのはなし

音階

音階を弾く

バイオリンを習い始めて3か月が過ぎ,ようやく音階の練習にたどり着いた.音階を弾くことはどんな楽器でも最も基本的テクニックである.ただ,「基本的である」ということと「簡単である」ということはまったく別物である.ピアノでも音階は基本練習の一つであるが,これは逆に言えば,音階をきちんと弾くことがとても難しいことを意味している(実際,私はピアノでは音階を満足いくように弾けない.ハノンとかの教則本で地道に指を鍛えるしかないのだが怠けているので...).バイオリンもおそらく同じで,ここから先はある意味で苦しい道が待っているのであろう.

さて,先日のレッスンでは,移弦する際に,音階練習では通常上昇音型では開放弦(0)を使い,下降音型では4の指を使うらしい.実際の曲の演奏では,音楽的要素も考慮してケースバイケースで決めるが,上昇音型では通常音色の関係から開放弦を使うことが多く,下降音型では4の指をまず決めて上から音を定めていくのがやりやすいということである.

このメモを書いている時点では,私はまだ4の指がうまく延びない(「開かない」というべきか?)ので,4の指に対する強烈な苦手意識があって,これが右手の動きに強く現れ,音がぐちゃぐちゃになってしまう.ただ,逆に考えれば,音階練習は4の指に対する苦手意識をなくすきっかけともいえるわけで,しばらくはこれを楽しみに練習することにしよう.

絶対音感

音階の練習を始めて,バイオリンの音程を正確にとるのがいかに難しいかを痛感している.しばらく開放弦を弾かずに音階を進んでいって開放弦に移ったときに,音程が相当ずれていることに気づかされることがしばしばである.

私は絶対音感はもっていないので,絶対的な周波数の違いは全くわからない.ピアノの経験があるので,例えば,へ長調の音階を聴けばそれは(ドレミファソラシド)ではなく(ファソラシドレミファ)として聞こえるし,学生合唱団にいたときは「人間音叉」の役(「ラの音をくれ」と言われればだいたいラの高さの声を出すことができた)をやっていたので,一般的にいえばそれなりの音感はあるのではないかと思っている.しかし,バイオリンでは,楽器を弾いている最中に少しずつ周波数がずれていくようなケースでは,その変化にまったく気づかないのである.文脈の中で調性感が確立してしまうとそれに引きずられてしまうのであろう.それだけに,先生が私が弾いている最中に「弦が緩んできていますね」とかいって微妙な音の高さの変化に気づくのには本当に感心させられる(先生の話では音がずれると気持ちが悪いのだそうだ).

歳をとってから絶対音感を確立するのが難しいことはよく言われることなので,子どものときからバイオリンをやっている人に追いつくことはできないのであろうが,それでも何とかいけるところまではいきたいものである.


Last-modified: 2019-10-22 (火) 11:13:15