jViolin

重力に任せる感覚

どのような身体技能でも「脱力」というキーワードは必ず出てくるようである.これは,バイオリンでも同様である,余計な力が入っていれば,その分だけ無駄なエネルギーを使ってしまう(余計に疲れてしまう)し,力が入ることで敏感な感覚が失なわれてしまうかもしれない.

脱力という観点から右腕で弓を動かすことについて考えてみよう.弓を右側に動かすのを「ダウン」,みだり側に動かすのは「アップ」と呼ばれる.実際,右に動かすときは弓は下に下がり,左に動かすときは上に上がる.下に降りる動きは「落ちる」動きであるから,本来は力を入れなくても重力の力で自然に進むはずである.

このことはもちろん頭では理解できるのであるが,なかなか実感として理解することができなかった.むしろ,「アップ」の方が弓を動かす手ごたえを感じることができて,動かしやすかったぐらいである.「ダウン」を弾くには,力を抜く,あるいは,弓が落ちてしまうのにブレーキをかける力をコントロールすることで弓の動きを制御することになるが,その感覚をつかむことができなかった.

これが,最近になってようやく少し感じられるようになってきた.楽器を習うのは結果が出るまでの時間が長いと思う.1週間,1か月のスパンでは上達したことがほとんど感じられないが,1年,2年のスパンで考えると着実に進歩してきていると思う.ともかく継続しなければならない.


Last-modified: 2019-10-22 (火) 11:13:15